2018年「台北金馬影展（＝台北金馬映画祭、Taipei Golden Horse Film Festival）」のオープニング作品とクロージング作品が発表された。中国語映画のアカデミー賞とされる「金馬奨（ゴールデンホース・アワード）」で、2015年に最優秀新人監督賞を受賞した畢贛（ビー・ガン）監督の最新作『地球最後的夜晩』がオープニング作品に、今年開催されるヴェネツィア国際映画祭のアウトオブコンペティション部門に出品する蔡明亮監督の『你的臉（YOUR FACE）』がクロージング作品に決まった。
中国大陸出身の畢贛監督は2015年、初の長編映画『路辺野餐（邦題：凱里ブルース）』で鮮烈なデビューを飾った。同じ年の「金馬奨」では、最優秀新人監督賞と国際映画評論家賞をダブル受賞した。台北金馬影展執行委員会によると、畢贛監督の最新作『地球最後的夜晩』に含まれる60分ワンカットの3Dシーンは圧巻だという。ストーリーは、数年ぶりに故郷に戻った一人の男性が、今でも忘れられない神秘的な女性を探すというもので、全体的に幻想的で詩的な雰囲気が漂う作品となっている。最新版のアジア初公開が、「台北金馬影展」のオープニングとなる。
蔡明亮監督は昨年初めてVR（仮想現実）技術を用いた作品『家在蘭若寺』を発表した。「台北金馬影展」では瞬く間に完売となった。VRに初挑戦したものの、もともとクローズアップのカメラワークに強いこだわりを持つ蔡明亮監督は、被写体をクローズアップした作品を作ることを決めた。出演するのは蔡明亮監督の作品に欠かせない俳優の李康生さんと、一般人12名。日本の音楽家、坂本龍一さんが音楽を手掛けている。
台北金馬影展執行委員会は、『你的臉』は分類が難しい映画だとしながらも、一人一人の顔、それぞれの構図、それぞれの光は、いずれも歳月の流れや、愛が隠された場所を物語るもので、唯一無二の風格を持っていると説明している。